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大日本水産会
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我が国底曳業界や延縄業界は昨年まではロシア側との個別の交渉・契約により操業枠を確保してきたが、今年からロシアの枠の配分方法が変わり、ごく一部の例を除き、外国人の民間操業枠はロシア国内で実施されるオークションにより手当することとなった。今年行われたオークションで購入した枠により我が国業界がロシア200海里水域で実施する操業及び問題点等について概説する。

1)3月23日のオークション
 このオークション(外国人の参加できる第1回目のオークション)で底曳業界は、スケソウ11ロット、5,500トンを買い、北転船11隻(1隻500トン)が北部オホーツク海に出漁した。操業は4月1日〜4月20日まで行われたが、流氷等の影響により消化率は7〜8割にとどまった。落札価格は平均でトン当たり260ドルだった。

2)5月18日のオークション
 このオークション(同上第2回目)で底曳業界はスケソウ約2万トン、その他約5千トン(ソコダラ、サメ、カスベ、オヒョウ、カジカ等)を買い、北転船11隻がベーリング海水域主体に6月1日〜12月31日まで操業する。トン当たり平均落札価格は約120ドルだった。また、稚内沖底船5隻の今秋〜冬期操業用に間宮海峡のマダラ枠(合計1千トン)を購入した。
 根室の延縄業界は、北緯50度以北の東サハリンのカラスガレイ450トン(3隻、1隻当たり150トン)をキロ当たり平均単価約80円程度で購入した。操業は7月〜10月1日まで。また、マダラについては西カムの400トン(キロ当たり平均価格約48円)、クリル・カムチャッカ水域の600トン(同約57円)を購入、操業は合計8隻で9月から年末までとなる。この他、稚内の延縄業界が間宮海峡で400トンのマダラ(1隻)を買った。

3)今後のオークション
 7月13日に外国人の参加できるオークションがあり、これに底曳業界が参加するかどうかは未定だが、北転船については今年はこれ以上の枠は必要ないとのことである。また、根室の延縄業界ではカラスガレイ、マダラとも枠が不足しているので、今後オークションで外国枠が出れば、ケース・バイ・ケースで対応したいとのことである。

4)その他の操業
 オークション以外の科学調査枠を使い、北転船3隻が西カム、北千島、コマンドル海域で調査操業をしている。

5)問題点
 底曳業界としては、今年初(外国人参加)のオークションがやっと3月下旬になって行われたため、2〜3月の抱卵期を逸してしまった。来年度は何としても抱卵期の操業を確保したいところだが、ロシア側がそうした条件を整えてくれる保証はなく、業界の抱く懸念は大きい。
 延縄業界とすれば、これまで日ロ共同事業で馴染んできた北千島漁場の枠は早々にロシア国内で売れてしまい、今年は西カムでの操業を余儀なくされる。また、スケソウ同様、1〜3月のマダラ盛漁期を逸してしまった。
 このように、オークション開催のタイミングにより最盛期を逸したり、また、ロシア国内向けオークションを優先実施した後に外国人の参加できるオークションが行われるため、売り出される枠が十分でなかったり、枠のつく水域等が制限されたり、或いは一定しなかったり、さらには外国人バイヤー間で競合したり、我が国業界にとっては厄介な問題が多い。
(*)ロシア水域でのさけ・ます民間操業については、ホームページ「平成13年のロシア200海里水域内さけ・ます流網操業」をご覧下さい。