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平成11年11月16日 社団法人 大日本水産会 |
国際水産団体連合(ICFA)年次会議の結果ついて |
平成11年11月9日〜11日まで、オーストラリア、フリーマントル市においてICFA年次会議が開催され、商業漁業をとりまく諸問題について活発な意見交換、情報交換が行われ、CCSBT非加盟国の加盟促進、日本政府へのFOC(便宜置籍)漁船による漁獲物輸入禁止要請、資源保存を視野に入れたWTO貿易交渉等の事項に関する決議を含め、問題解決を図るため諸対策が合意された。今後、各メンバーは個々に、或いは連帯し、各国政府または関係国際機関に対し、商業漁業の持続的発展のために必要な行動をとっていくこととした。 大日本水産会としても、WTO交渉、FOC漁船、非加盟国漁船のマグロ輸入禁止等のICFA決議については、外務省、農林水産省、通商産業省等に報告し、適切な対応を要望していくこととしたい。 採択された決議、声明等は以下の通り(仮訳別添)。 |
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また、今回会議において日本業界の関心事項(下記)については日本の業界の意向が概ね反映された。 | ||||||||||||||||||||||||
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ICFA(国際水産団体連合) (仮訳) 1999年・年次会議 ミナミマグロ資源管理促進決議 |
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ICFAは、ミナミマグロ資源保存委員会(CCSBT)が、ミナミマグロの保存管理とその最適利用に責任を有する国際漁業資源管理機関であると認識し、 | ||||||
CCSBTに加盟していない国及び地域により大量のミナミマグロが漁獲され、しかも増加していること、そして、かかる漁業行為がCCSBTにより実施されている資源管理措置の効果を減殺していることに留意し、 | ||||||
日本が、ミナミマグロの主要市場国である事実を認識し、 | ||||||
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ICFA(国際水産団体連合) 1999年・年次会議 便宜置籍漁船廃絶決議(仮訳) |
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ICFAは、便宜置籍漁船(FOC)の操業が、地域漁業管理機関の資源管理措置の効果を損ない、海洋生物資源の持続的利用を危機的状況に陥らせているとの認識に基づき、 | ||||||||||||
国連食糧農業機関(FAO)水産委員会が、その「漁獲能力管理に関する国際行動計画」の中で、FOC漁船の操業に関する緊急行動を求めていることを考慮し、日本が、高品質の刺身用マグロの主要消費国であることに留意し、 | ||||||||||||
各関係者に対し、以下の措置をとるよう要請する。 | ||||||||||||
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ICFA(国際水産団体連合) 1999年・年次会議 WTO貿易交渉・決議 (抄訳) |
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水産物は、世界でもっとも広範に取り引きされている食品である。特に、開発途上国の需要の増加へ対応して開発途上国による供給が、増加している。 | |||||||||
ICFAは、きたるべきWTOの包括的貿易交渉において、多くの国が水産物を交渉の対象とする意図を有していることについて留意する。 | |||||||||
ICFAは、交渉において、自由貿易のもとで消費者が持続的に水産物を利用することを確保するために消費者のニーズが検討されることを歓迎する。 | |||||||||
他方、ICFAは、水産問題は複雑であり、常識的に理解されている貿易政策協定には必ずしも十分適合しないことを指摘する。この問題で特に、以下について、注意をうながしたい。 | |||||||||
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ICFA(国際水産団体連合) 1999年・年次会議 |
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ワシントン条約会議対策・声明(仮訳) | |||||||||||||||||||||
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フリーマントル宣言(仮訳) | |||||||||||||||||||||
ICFAは以下のことに留意する。 | |||||||||||||||||||||
水産物及び水産製品は、主として天然の海洋生物資源の持続的管理及び養殖システムの資源管理を通じて、最も広く存在するタンパク質を基礎とする栄養及び生計を世界の人々にもたらし、 | |||||||||||||||||||||
水産資源の持続的管理を達成することは水産業の全ての利害関係者の責任である。今日の水産業の管理は、資源の最大の生産を確保するために、相互に関係する対象魚種の資源及びその他の魚種の資源の管理を確実に行うと同時に、社会全体の福祉の向上のために水産資源の利用の経済的利益を確実にもたらしうる戦略を実施することが可能である。しかしながらこれらの成果は水産業に従事する者が管理できない他の社会の活動によって減殺されうる。 | |||||||||||||||||||||
ICFAは、水産業に従事する者がほとんどあるいは全く影響力を持たないが、水産資源の持続性に悪影響をもたらし(あるいは潜在的にもたらし)、法的に認知された水産資源を利用する権利を水産業に従事する者が完全に行使する機会を損なう社会活動を、世界の国々が最小限に抑え緩和するよう要求する。 | |||||||||||||||||||||
これらのうちICFAが注意を呼びかける活動は以下の結果をもたらす活動である。 | |||||||||||||||||||||
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ICFA(国際水産団体連合) 1999年・年次会議 |
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FAO漁獲能力管理国際行動計画に関する声明(抄訳) | |||||||||
ICFAは、FAO水産委員会の採択した「漁獲能力管理のための行動計画」を検討した。 | |||||||||
この行動計画が、自主的な計画であることに留意しつつも、ICFAは、過剰漁獲能力は、資源の過剰漁獲をもたらすとのFAO加盟各国の懸念を共有する。 | |||||||||
ICFA は、1999年11月、カリフォルニアのラホーヤ市で開催される漁獲能力測定のためのエレメントについてグローバル・ベースで勧告する専門家会合の結果に、関心を有する。 | |||||||||
ICFA会員は、上記を考慮することを条件として、ICFA会員の政府およびその政府の加盟している地域機関が、「行動計画」を採択することを支持する。 | |||||||||
アレン事務局長あて書簡(抄訳) | |||||||||
1999年11月9日から11日の間、フリーマントルで開催されたICFA年次会議において、集魚装置を使用するまきあみ漁船の小型めばちまぐろの漁獲量の減少について、貴委員会が本年6月および7月の会合で行った措置について、協議しました。 | |||||||||
ICFA会員は、めばちまぐろ資源の衰退を防止するためIATTC加盟国がとった措置を賞賛します。 | |||||||||
貴委員会の科学者が提出した科学的意見によれば、明年、更なる削減が必要であることは明らかです。ICFAは、小型めばちまぐろの過剰漁獲がおこなわれないようにするために、貴委員会が、更なる適当な追加規制措置を採択するよう要請します。 | |||||||||
また、ICFAは、東部太平洋まぐろ漁業の中のまきあみ漁業の過剰能力問題についてIATTCが取り組んでいることについて、支援を表明します。これは、むずかしい問題ですが、東部太平洋のまぐろ資源を長期的に健全な状態にするために、IATTC加盟国が、まきあみ漁船の漁獲能力を制限する積極的な措置をとることを希望します。 | |||||||||
遊漁(仮訳) | |||||||||
ICFAは世界の多くの地域における遊漁の団体による商業漁業の業界に対する不当な批判の高まりを認識し、 | |||||||||
95カ国によって採択された食料安全保障のための漁業の持続的貢献に関する京都宣言及び行動計画が「増大し続ける世界の人口、現在及び将来の世代の人々のために十分な食料を確保する必要があること、並びにすべての人々の収入、財産及び食料安全保障に対し果たしている漁業の重大な貢献、及び一部の低所得食料不足国にとっての漁業の緊要性に留意する」ことを認識し、 | |||||||||
ICFAフリーマントル宣言が、「水産物及び水産製品は、主として天然の海洋生物資源の持続的管理及び養殖システムの資源管理を通じて、最も広く存在するタンパク質を基礎とする栄養及び生計を世界の人々にもたらすことに留意する」ことを認識し、 | |||||||||
それ故ICFAは、全ての政府に対し、世界の人々の食料資源としての海産種の重要性を認識し、遊漁団体による不公平で不当な商業漁業への攻撃を拒否し、水産業界に確実な持続的漁業資源の利用を保証することを要求する。 | |||||||||
チョウザメの資源管理とCITES | |||||||||
チョウザメの主要輸出国のひとつであるロシアの業界団体、ロシア水産会(VARPE)は、チョウザメが第10回ワシントン条約(CITES)締約国会議において付属書IIに掲載されたにも係わらず、資源が未だ危機的状況にあることを憂慮し、下記の立場を表明して、ICFAメンバーにチョウザメ資源の長期的な持続的利用の確保に協力を求め、ICFAは協力することとなった。VARPEは、今後具体的なICFA協力計画の立案を行い、その後具体的な検討をすることが合意された。米国一国のみのロシアからのチョウザメ・キャビアの輸入量が、ロシア当局が世界の国々に輸出許可したチョウザメ・キャビアの量を上回っていることが、チョウザメ管理の問題の深刻さを表しており、輸出国のみならず輸入国の前向きな取り組みが必要とされる。 | |||||||||
CITES決議を考慮したチョウザメの漁獲、生産、貿易に関する全ロシア水 産企業・企業家・輸出者協会(VARPE)の立場 | |||||||||
1973年に署名された「野生の動植物の絶滅のおそれのある種の国際取引に関する条約」(CITES)の第10回締約国会議の決定に従ってチョウザメがCITES付属書IIに掲載されて既に1年半が過ぎた。 ロシアは、世界の主要チョウザメ生産国の一つとして、1998年4月1日にチョウザメを保護する目的で「チョウザメ及び副産物の輸出入業務に関する特別指令」が採択されたものの、チョウザメ資源の危機的な状況故に、世界の国々が更なる緊急の保護措置を取る必要があることを十分認識している。 カスピ海の水生物資源には、世界のチョウザメ資源の90%が存在しており、合理的な管理、調査、利用、保護、再生産のための特別な注意と緊急措置が必要である。 カスピ海沿岸の5カ国が作成した「カスピ海の水生生物資源の保護及び合理的利用に関する協定」の署名をこれ以上遅らせることはチョウザメにとって致命的であるにも係わらず、これらの国の指導者が政治的意思を持たないため6年間署名されないままになっている。 VARPEはまた、チョウザメ・キャビアの輸出入に関する情報が信頼するに足らず、キャビアの低価格が消費性向と製品の実際の市場価値に釣り合わっていないことに懸念を抱いている。 米国の国家海洋漁業局の情報に基づく我々のデータによれば、1998年のロシア産のチョウザメの輸入は64トン、1,160万USドルであり、平均価格は181ドル/kgとい うことになる。 しかしながら1998年ロシアの生産者及び輸出者が輸出を申告した全ての量のチョウ ザ・メキャビアのうち、ロシア連邦のCITESチョウザメ管理当局が世界の国々に輸出するためにCITES輸出許可証を発行したものは総計40トンで平均価格が300USSド ル/kgであった。 故に、64トンのチョウザメ・キャビアが市場価格の2分の1で米国に送られるという事実のみで、違法なキャビアの販売ルートが存在していることを証明できる。 もしキャビアの実際の輸出入量に関する詳細で、信頼に値する、時宜を得た情報が入手可能で、密漁を阻止する効果的な措置を講じることができれば、このことを防ぐことが可能になる。 VARPEは、チョウザメ製品輸入国の大部分がCITES締約国であり、またICFAのメンバー国でもあることを鑑み,この場を借りて、野生の動物相において絶滅の危機に瀕している種であるチョウザメの真の保護のために、以下の提案を行う。 |
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