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大日本水産会
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大水ニュースレター
第731号

BUTTON 水産各分野の意思疎通で協力体制を BUTTON
中須会長が賀詞交歓会、年頭会見で提唱

大日本水産会は1月6日正午から東京の赤坂プリンスホテルに水産関係者約600名の出席を得て、恒例の新年賀詞交歓会を開催し、業界をあげて難問の解決に取組むことを誓い合った。

冒頭挨拶した中須勇雄会長は「昨年の水産を取巻く状況をみて印象的だったのは、海外では魚の価格が上昇したのに対し、国内の魚価は低迷が続き、水産物の需給関係に大きな変化が生じた点だ。生産は資源の問題で制約される半面、需要はアジアの経済発展と世界的な健康志向もあって伸張傾向にあり、マーケットを意識した供給体制と輸出拡大に取組む必要がある。それには国内の生産、流通、加工、販売など各分野が手を結び、意思疎通を密にし一致協力してオール水産で力を発揮しなければならない」と業界全体での取組みを強調した。18年度予算の関係では「与党、政府の尽力により燃油高騰対策などで異例とも言える予算措置が講じられた。これに応えるには一層の省エネ、省コスト漁業を追及しなければならず、今年が勝負の年になる。漁船漁業の中長期対策も正念場を迎えており、大水は業界の窓口としてあるいは調整役としての役割を果たしていく」と述べた。

品質管理対策では「従来、対米輸出に限定していたHACCP認証制度を拡充し、本年4月から国内の全ての品質管理を対象にする。また5月末には残留農薬の規制がポジティブリストへ移行するが、初めてのことなので混乱が生じぬよう業界と役所とのパイプ役を果たしていく」と締めくくった。

来賓の小斉平敏文大臣政務官は「昨年の水産業界はクラゲや燃油の高騰などで大きな被害をこうむったが、水産総合調査会の鈴木俊一会長の尽力により補正予算で51億の基金が造成され、水産庁も17年度予算のうちから49億の施策見直しを行なうことになった。今年は水産基本計画を見直する年でもあるので、業界の意見を聞きながら実効があがる計画を策定していく」と述べた。最後に大水副会長の垣添直也日本水産社長が「年末の売上げは例年クリスマスが過ぎると下降するが、昨年末は株高もあってクリスマス以後の1週間で消費がさらに盛上がり、そのまま新年を迎え高額の福袋が沢山売れた。これは経済環境が守りから日本人の性に合った攻めの環境に転じたからで、中須会長が指摘したように水産物のサプライチェーンが一体となって新たな時代を引き寄せようではないか」と力強く提唱し、乾杯の音頭をとった。

中須会長は賀詞交歓会後の年頭記者会見で、賀詞交歓会での挨拶をもとに概要以下の通り語った。

漁船漁業の建て直しでは、食品を売ることを知っている人達から生産現場に対し協力をあおぎ、販売を意識した取組みが必要だ。獲るだけで売るのは市場任せではこれからは成り立たないので、流通関係者とも話合い生産者自ら魚の売り方を見出していかなければならない。やってみれば新たな販売方策が容易に発見できるのではないか。

国内の需要をみると、日本は歴史的に欧米の3倍近い魚を食べていて、市場は飽和状態となり、需要の減少を食い止めるのに精一杯で需要が拡大する海外と同列には対応できない。この状況を踏まえて上での取組みが必要で、経済成長が続く中国など振興マーケットの開拓を考えたい。

燃油の問題では日本中誰もここまで高騰するとは思っていなかったが、水産業界は自動車など他の産業に比べ省エネ・省コスト対策が遅れていたのは否めない。商船ではA重油とC重油を混合して使っている例もある。予算措置を生かし17年度分は時間が迫っているので早期に着手し、水産庁とも調整しながら十分な活用を図りたい。

対外的には中国との民間協定について、今年中早い機会に中国漁業協会の斉会長と協議し解決策を見出したい。2回目の日中韓3国団体長会議は7月のシーフードショーに合わせて東京での開催を予定している。課題が多く歩みは遅いが、誠実に議論を重ね解決を図りたい。