|
一致して反トロールに対抗を 大水・国際対策委員会開く |
大日本水産会は9月20日に国際委員会を開催し、9月5〜7日にローマで開かれた国際水産団体連合(ICFA)年次総会の概要を報告するとともに、水産庁から11月開催予定の漁業決議に関する非公式協議とその後の国連総会への対応方針について説明を受けた。
|
冒頭挨拶に立った米澤邦男委員長(日トロ協会長、GGT理事長)は「前年の国連総会で公海トロール漁業禁止勧告決議が提案されたことを受け、本年のICFAは大変活発な議論が交わされたという。この決議は環境団体をバックにコスタリカという小国が出してきた訳だが、漁業全体への挑戦状とも受け取れる。捕鯨では日本と共同歩調をとってきたノルウェーもこれを支持し驚いた方も多いと思うが、ノルウェーはヨーロッパにマーケットを依存しており、もともと当てにはならない。FAOが最後の拠り所となるが、FAOとて持続的漁業を全面的に支持しているものではなく、我々自らが声をあげて戦っていかねばならない」と述べた。
引き続き、ICFA年次総会に出席した西村大水国際課長、吉田日トロ協専務、原田OPRT専務が結果や所感を語った。総会では、反トロール漁業運動に反対し、国連は漁業問題を検討する際には必ずFAOの意見を聞くべきとする「公海トロール漁業擁護決議」と、7月に開催された責任あるまぐろ漁業者国際会議から発せられた横浜宣言を支持する決議を採択した。次いで行われたFAOとの意見交換では、ICFAメンバー国は漁業問題ではFAOの主導を要請したが「FAOの立場はFAO水産委員会(COFI)によって決まる。各国政府のCOFIへの働きかけが重要」とし、FAO自体は中立的立場をとらざるを得ないことを示唆した。 吉田専務は「NZは民間はトロールをやりたい、政府はトロール反対、カナダはNAFO水域から海外漁船を追い出したい、米国は公海でトロールをやっていないのでどっちに転ぶかわからずと各国の思惑が錯綜し、他国と足並みを揃えるのは難しい。日本は独自の活動が必要。漁業者も漁具を改良するなどして、環境に優しい漁業へ取組まなくてはならなくなっている」、原田専務は「横浜宣言は共感をもって受入れられた。日本の業界が積極的に発言していくのは大事。先見性をもって問題を把握していき、環境団体の動きを先回りして封じていくよう努めるべき」と各々述べた。 その後、森下水産庁交渉官が、国連総会への対応について「昨年決議されたトロール禁止は2年後に見直すとなっており、今年は見かけ上では何も起こらないと思うが、見ないふりをしていると、来年に蓄積されてはねかえってくることは必至であり、放っておくわけにはいかない」とし、今後積極的に「日本の味方づくり」に当たることを明らかにした。その上で「国際会議の場で日本のみ異を唱えると、それがいくら正しい主張であっても国内外から、これぐらい呑めとなる。クジラ問題で日本は孤立に近い立場に追い込まれても、ここまでやってこられたのは国内で政治のハイレベルにまで理解されていたからだ。周囲からの理解とともに、業界、国が同じ目標に向かっていくという姿勢が大事」と、業界も一枚岩となってあたる必要性を強調した。また、「来年は、国連公海漁業協定発効5年にあたる見直しの年となり、3月にはそのための準備会合、5月には本会合が開かれる。6月には国連海洋法条約非公式協議プロセスと続くが、その節目ごとに何がでてくるかわからないので、十分注視しなくてはならない」と提起した。 |