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日韓漁業新協定締結に向けて |
1998年6月8日 事業部次長 小坂智規 |
我が国政府が、本年1月23日に現行の日韓漁業協定の終了通告を行った事により、一年後には我が国排他的経済水域200海里法が完全実施される状況となった。 しかしながら、日本国と大韓民国とは32年余の長きにわたり漁業協定を継続し、民間もまた本会と韓国水産業協同組合中央会との間で民間漁業取決めを政府間協定の発効を受け締結してきた経緯があります。加えて両国とも国連海洋法条約の締結国となっている事を踏まえ、日韓両国の周辺水域における資源管理をどのように考えていくかが新協定締結への最大の課題であり、新漁業協定の締結交渉は2年近くの協議にもかかわらず、日韓両国の意見の一致を見いだせず終了通告となった。また、5月22日の小渕外相と来日中の韓国の朴外交通商相との会談でも新協定の早期締結の必要性が確認されたが具体的な進展は見られなかった。 我が国漁業者はかなり以前よりこの協定に対する不満を持っているが、いかなる国際協定も締結から時間がたてば制度疲労が出るものであり、それに備えるために終了通告条項が設けられることは極めて常識的なものであって、終了通告は国際法上はごくありふれた手続きである。日本、韓国ともに国連海洋法条約を批准し、新しい漁業協定を結ぶ基盤が出来た段階での先般の終了通告であり、慇懃無礼なものと韓国側より非難されるものではない。 日本の漁業者の中には新たな協定は必要なく、失効させても構わないと考えておられる人々が多くいるが、これは韓国側が自主規制措置の停止や日本沿岸での種々の違反操業等により資源管理に熱心でないと考えるからである。本会を含め日本の漁業団体は国連海洋法条約に立脚した効果的な資源管理体制を確立することを望んでおり、日本国政府が我々漁業者の求めている資源管理を適正に行うことを目的とした新漁業協定を両国政府間で一日も早く、締結されることを願っている。 |
以上 |