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大日本水産会
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我が国は、中西部太平洋におけるかつお・まぐろ類等の資源の適正な保存管理のための国際機関の設立(当該水域についてはこれまでこうした機関は存在しなかった)に向けて、1994年以来、「中西部太平洋における高度回遊性魚種の保存管理に関する多国間ハイレベル会合(MHLC)」に積極的に参加してきた。2000年8月〜9月に開催された第7回会合(MHLC7)において、南太平洋島嶼国の賛成多数のもと条約が採択されたが、我が国及び韓国は、この条約に漁業国の意向がまったく反映されていないとして反対、中国、仏、トンガは棄権した。

改善すべき主な課題としては、(1)資源の回遊域及び漁業の特性を反映した条約水域の設定、(2)異議申立て権等による漁業国の意向も反映される意思決定方式の導入、(3)他の条約との水域・対象魚種の重複規制、取締り制度及び科学データ収集制度の見直し等による漁船側への過度な負担の軽減、(4)当事者間のコンセンサスに基づく平和的紛争解決制度の導入、等があげられる。また、MHLC7では、議事進行手続き規則の欠如、議長の不透明な会議運営、交渉プロセスからの一部の国、地域等の排除(EU、中南米諸国等)等交渉や審議過程上にも問題点があった。

従って、我が国は、本条約に関心を有するすべての国・地域の正式な参加のもと、条約の改善を前提とし、準備会合においては、(1)EU等関心のある国の正式参加、(2)「条約の改善」を議題とすること、(3)議長は遠洋漁業国から選出すること、をニュージーランド等関係国に要請したが、結果として受け入れられなかったため、我が国の準備会合(4月23日〜28日、ニュージランド、クライストチャーチ市)への不参加が決った。ただし、水産庁幹部は、「今回不参加を決めたが、これは条約に入る入らないということではなく、我々の考えが受け入れられれば、これからの会合には参加する」と述べている。今後の我が国の取り組みとしては、あくまでも適切な地域資源管理機関の設立に向け、EU、中南米諸国、韓国、中国等と連携を取りつつ、南太平洋島嶼国をはじめとするMHLC参加国との協議を通じ、引き続き条約改善の主張・努力をしていくことが求められる。