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大日本水産会
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2001年4月13日
大日本水産会 おさかな普及協議会事務局長 松沢 正明

 子供への魚食普及は、そのまま母親への魚食普及である。

本会が実施した直近の「水産物消費動向調査」は、一部、母親への面談調査を手法として採用したので、筆者も面談に参加してみたが、所謂、「子供のさかな離れ」は母親の責任である事を否定する母親は皆無であった。面談した殆ど全ての母親は、子供がさかなを食べたがらないのは母親の責任である事を認めている。その上で、できればもっとさかなを子供に食べさせたいと考えている母親が大半である。

つまり、程度の差こそあれ「肉ばかり食べると健康に悪いので、子供にはできればもっとさかなを食べさせる必要がある」との認識はかなり広く行き渡っているのである。
 それにも拘らず、何故、子供の為にさかなを買ってやるという購買行動に結びつかないのであろうか?前述の調査で明らかになった魚食普及の阻害要因は、
  1. さかなは価格が高い。若い人ほど価格に敏感である。
  2. さかなは調理が面倒。さかなの料理が苦手な人が若い人ほど多い。
  3. さかなはおなかが一杯にならない。食べ盛りの子供はボリュームを求めるので肉を好む。
が、主要なものである。
いずれの項目も業界として一工夫の必要な事項であり、真摯に受け止める必要がある。この頃、私はおさかなはものによっては、それ自体では直接消費者に販売する商品として不完全ではないかと感じる事があります。つまり、料理法、栄養、産地情報、生産者情報やそれに関わる物語等、周辺情報をソフトとしてつけて、さかな(ハード)と情報(ソフト)を一体として販売する必要があると思います。ソフトの付け方としては、表示、口頭、バンフレット、その他色々考えられるので、その辺を一工夫して、世のお母様方に、一寸お値段は高いかも知れないが、買って食べようとの気を起こさせ、納得してもらえる工夫が必要と考える次第である。現在、本会では富山医科薬科大学の浜崎教授に依頼して「子供の情動行動とDHAの摂取」の研究を取り進めております。この研究は、最近の子供たちが所謂「キレル」状態になりやすく、時には犯罪に繋がる例がある中で、おさかなの脂であるDHAを摂取する事により、情緒の安定が図られ、特に感情の中の「敵意性」が押さえられる事を明らかにする目的で実施しています。従い、単に「おさかなを食べれば頭が良くなる」だけの問題ではない事が、明らかにされつつあり、我々としては種々の工夫を凝らして、魚食の普及を図る事が国民の健やかな生活に欠かせないと考えています。